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<?xml-stylesheet type="text/xsl" href="http://nonchan-net.com/cs/rss.xsl" media="screen"?><rss version="2.0" xmlns:dc="http://purl.org/dc/elements/1.1/" xmlns:slash="http://purl.org/rss/1.0/modules/slash/" xmlns:wfw="http://wellformedweb.org/CommentAPI/"><channel><title>職場のネタ</title><link>http://nonchan-net.com/cs/forums/32/ShowForum.aspx</link><description>自由投稿ですが、個人情報は書き込み厳禁です。</description><dc:language>ja-JP</dc:language><generator>CommunityServer 2.0 (Build: 60217.2664)</generator><item><title>街灯の下、長い黒髪と白いコート</title><link>http://nonchan-net.com/cs/forums/thread/30946.aspx</link><pubDate>Tue, 08 Sep 2026 11:11:09 GMT</pubDate><guid isPermaLink="false">a8d0d470-0085-4ca3-9e87-1fca9e74e956:30946</guid><dc:creator>haruka900619</dc:creator><slash:comments>0</slash:comments><comments>http://nonchan-net.com/cs/forums/thread/30946.aspx</comments><wfw:commentRss>http://nonchan-net.com/cs/forums/commentrss.aspx?SectionID=32&amp;PostID=30946</wfw:commentRss><description>「〇〇〇〇にお勤めのはるかさんですか。」&lt;br&gt;&lt;br&gt;それが、すべての始まりだった。&lt;br&gt;&lt;div&gt;平成の初め、まだ携帯電話などない時代。&lt;/div&gt;&lt;div&gt;東京都町田市の鶴川にある実家に設置された黒電話が、不穏な呼び出し音を響かせた。&lt;/div&gt;受話器を取った母親は、相手の見当もつかない、しかし刃物のように冷たい女の声に硬直したという。&lt;br&gt;&lt;br&gt;その当時、鶴川の街に「柏木」という家は三十、四十件はあった。&lt;br&gt;相手の女は、その一軒一軒にしらみつぶしに電話をかけていたのだ。&lt;br&gt;&lt;br&gt;「娘は今、不在にしておりますが」&lt;br&gt;母が戸惑いながら答えると、受話器の向こうの女は、突然ヒステリックに金切り声をあげた。&lt;br&gt;「親なら、自分の娘が外で何をやっているかよくよく把握しなさい！ 既婚男性に色目を使って、家庭を壊そうとしているのよ！」&lt;br&gt;&lt;br&gt;&lt;br&gt;その夜、私が地元のダンススタジオでのレッスンを終え、夜九時過ぎに帰宅したとき、家の中の空気は凍りついていた。&lt;br&gt;「はるか、お前、外で何をやっていたんだ！」&lt;br&gt;普段は温厚な父が、見たこともない形相で激怒している。母は居間の隅で青い顔をして震えていた。&lt;br&gt;&lt;br&gt;訳が分からず、私は必死に弁明した。&lt;br&gt;「私、普段からガサツで色気もないって言われてるじゃん！ 会社のおじさんたちに素敵な人なんて一人もいないし、色目なんて使うわけがない！」&lt;br&gt;私の必死な様子に、両親もようやく落ち着きを取り戻し、「まあ、あんたの性格なら、そんな器用な真似はできないか……」と、ひとまずは信じてくれた。&lt;br&gt;完全なシロ。無実の罪。&lt;br&gt;&lt;br&gt;しかし、誤解が解けても、背筋を這い上がるような気持ち悪さは消えなかった。&lt;br&gt;あの執念深い女は誰なのか。私は本当に、誰かに恨まれるようなことをしたのだろうか。&lt;br&gt;自分の記憶の引き出しを、一つずつひっくり返すようにして思い返した。&lt;br&gt;&lt;br&gt;そして、脳裏に一つの「目」が浮かび上がった。&lt;br&gt;&lt;br&gt;私は地元のテニス部に所属していた。&lt;br&gt;そこに、四十代後半から五十代前半ほどの、ベテランの男性コーチがいた。&lt;br&gt;部員からは「おじさん」と慕われ、私も乱打の相手をしてもらったり、時には新松田の駅まで車で送ってもらったりしていた。&lt;br&gt;二十代半ばの私からすれば、彼は完全にお父さんのような存在で、下心など微塵も感じていなかった。&lt;br&gt;&lt;br&gt;だが、周囲の目が違ったらしい。&lt;br&gt;部活の先輩から「柏木さんは、〇〇さんのお気に入りだもんな」とからかわれたことを思い出す。&lt;br&gt;&lt;br&gt;空間を一瞬にして凍らせる、あのおじさんの「妻」の姿が、鮮明に蘇ってきた。&lt;br&gt;その奥さんは、歳の割にとても若く見える、可愛らしい人だった。艶のある黒髪ロングヘアをなびかせ、お化粧も綺麗に施されている。&lt;br&gt;おじさんの前では、不自然なほど少女のような甘えた振る舞いをする。&lt;br&gt;内心「少し気持ち悪いな」と思いつつも、私は「旦那さんのことが大好きなんだな」くらいにしか思っていなかった。&lt;br&gt;&lt;br&gt;ある日、その奥さんが部活の練習に見学にやってきた。&lt;br&gt;おじさんは妻と一通り乱打をこなした後、いつも通り私をコートに呼び、ラリーを始めた。&lt;br&gt;&lt;br&gt;「ナイスショット、はるかちゃん」&lt;br&gt;&lt;br&gt;おじさんが笑顔で声をかけた、その瞬間だった。&lt;br&gt;コートのベンチに座っていた奥さんと、ふと目が合った。&lt;br&gt;&lt;br&gt;それは、人間が人間に向けるものとは思えない、底無しの憎しみに満ちた目だった。&lt;br&gt;可愛らしい顔立ちのままで、血の気の引いた唇が小刻みに震えている。&lt;br&gt;その整った顔が、私を呪い殺さんばかりに睨みつけていたのだ。&lt;br&gt;&lt;br&gt;「……あの電話は、あの奥さんだ」&lt;br&gt;&lt;br&gt;点と線が繋がった瞬間、全身に鳥肌が立った。&lt;br&gt;彼女は夫の浮気を疑い、狂気に駆られて「柏木はるか」の家を突き止めたのだ。&lt;br&gt;&lt;br&gt;私は恐怖のあまり、すぐにテニス部を辞めることにした。&lt;br&gt;おじさんからは「またおいでよ」と引き留められたが、「家の手伝いが忙しくなって」と嘘をつき、二度とコートには近づかなかった。&lt;br&gt;&lt;br&gt;それから数週間、電話がかかってくることもなくなり、日常は平穏を取り戻したかに見えた。&lt;br&gt;私はあの恐怖を忘れようと、ダンスのレッスンに没頭した。&lt;br&gt;ある水曜日の夜。レッスンが終わり、鶴川のダンススタジオを出たのは夜の九時前だった。&lt;br&gt;辺りはすっかり暗くなり、街灯が寂しく道路を照らしている。実家へと続く夜道を一人で歩いていると、ふと、背後に違和感を覚えた。&lt;br&gt;&lt;br&gt;コツ、コツ、コツ……。&lt;br&gt;&lt;br&gt;革靴ともヒールとも違う、奇妙に重い足音が、一定の間隔で後ろからついてくる。&lt;br&gt;気のせいだと言い聞かせ、歩調を早める。しかし、後ろの足音もまったく同じ速さでついてくる。&lt;br&gt;&lt;br&gt;曲がり角に差し掛かったとき、私は意を決して、背後を振り返った。&lt;br&gt;&lt;br&gt;心臓が跳ね上がった。&lt;br&gt;&lt;br&gt;数十メートル後ろ、街灯の薄暗い光の中に、一人の女が立っていた。&lt;br&gt;季節外れの、真っ白なロングコートを着ている。&lt;br&gt;街灯の光の中に浮かび上がるほど不自然に長い、真っ黒な髪がだらりと垂れ下がっていた。&lt;br&gt;&lt;br&gt;街灯の光が遮られ、顔の細部は見えない。しかし、確信があった。&lt;br&gt;あの、歳の割に若く見える可愛い顔をした女が、暗闇の中から私をじっと見つめている。&lt;br&gt;&lt;br&gt;なぜ、ここが分かったのか。&lt;br&gt;実家の電話番号だけでなく、私が水金土の夜に、このスタジオに通っていることまで、あの女は調べていたのだ。&lt;br&gt;&lt;br&gt;恐怖で声も出ず、私は脱兎のごとく走り出した&lt;br&gt;。全力で自宅へと駆け込み、玄関の鍵を閉めて激しく息をつく。&lt;br&gt;窓の外を恐る恐る覗いたが、そこには誰もいなかった。&lt;br&gt;&lt;br&gt;それ以来、私は夜道を一人で歩くことができなくなった。&lt;br&gt;彼女は今も、あの憎しみに満ちた目で、私の日常のすぐ後ろに潜んでいるのかもしれない。&lt;br&gt;白いコートの裾を揺らしながら、私が一人になる瞬間を、じっと待ち続けているのだ。</description></item></channel></rss>