部下と飲み会で口論になり、最終的に「馬乗りになる」という極端な身体的攻撃にいたる行動は、単なるお酒の席の失敗ではなく、複数の心理的要因が暴走した結果だ。
この行動にいたる深層心理の分析と、組織・社会における客観的な評価を以下にまとめる。
1.馬乗りになる心理の分析
言葉による口論から、相手を押し倒して拘束する「馬乗り」という行動へ発展する背景には、
以下のような心理メカニズムが働いている。
- 絶対的な支配欲とマウンティング
①馬乗りは物理的に相手を下に敷き、自由を奪う体勢
②「口論で言い負かされそうになった」「プライドを傷つけられた」と感じた際、言葉ではなく肉体的な上下関係(暴力)で無理やり自分の優位性を証明しようとする心理 - 自己防衛本能の過剰防衛
①部下の正論や反論を「自分への全否定」や「地位を脅かす脅威」と認知する
②強い脅威を感じた脳が、自分を守るために「闘争・逃走反応」を引き起こし、過剰な攻撃行動をおこす - アルコールによる理性の麻痺(脱抑制)
①お酒の影響で、衝動や攻撃性をコントロールする前頭葉の機能が低下
②日頃から無意識に抑え込んでいた部下への不満、嫉妬、ストレス、あるいは「舐められたくない」という強い劣等感が、一気に剥き出しになる
2.社会的・組織的な評価
この行動に対する客観的な評価は、いかなる理由があろうとも「弁解の余地のない、極めて深刻な逸脱行為」である。
- 法的評価:刑事罰・犯罪行為
①相手に怪我をさせていれば傷害罪、怪我がなくても物理的な暴行を加えているため暴行罪が明確に成立する。
②飲み会の席であっても、法律上の違法性は一切軽減されない - 組織的評価:一発解雇・降格に値するハラスメント
①職務上の地位や関係性を背景に、適正な範囲を超えて精神的・身体的苦痛を与える典型的なパワーハラスメント(身体的な攻撃)
②企業のコンプライアンスにおいて最悪の部類に属し、懲戒解雇や出勤停止、役職解任などの重い懲戒処分が妥当と評価される - マネジメント能力の評価:破綻・不適格
①言葉によるコミュニケーションや感情のコントロールができない人物として、「指導者・管理者としての適性は皆無」とみなされる
②信頼関係は完全に崩壊し、当該部下だけでなく、チーム全体の心理的安全性 KeySession を著しく損なう存在(いわゆるクラッシャー上司)と評価される。
まとめ
この事象は、「アルコールによって理性のブレーキが外れ、肥大化したプライドと過剰な防衛本能が、物理的な支配(馬乗り)という最悪の形で表出したハラスメント・暴行事件」といえる。
しかし、 懲戒処分はなかったとされている。